50周年記念誌
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DATA■ 大卒初任給:23,300円■ ヒット曲:霧氷(橋幸夫)■ 映画:サウンド・オブ・ミュージックアメリカ流通機構の特徴●スーパーマーケット:食料品が主体だが、徐々に非食料品のウエイト が増えている。郊外のショッピングセンター内にも市内にも多く、セ ルフサービスと大量販売方式を取っている。●ディスカウントストア:繊維品の取り扱いが多く、食料品の割合は少 ない。日用雑貨も取り扱っており、ワン・ストップ・ショッピングで何で も揃う安売り形式が特徴。●ショッピングセンター:大都市の郊外に発達し、両端にデパートとスー パーマーケットがあり、その間に生活に密着したあらゆる専門店が並 んでいる。敷地の2/3が駐車場。●デパートメントストア:日本のデパートとほぼ同じ。チェーン組織で経 営されているものが多い。都市部は駐車場不足、郊外はショッピン グセンターなどの発達で売上は横ばい。信用取引が多い。●バラエティストア:いろいろな商品を揃えて売る小売店(雑貨店)。 もとはワンプライスショップで、次第に品揃えを拡大して大型化 した。最近では衣料品や耐久消費財なども扱っている。●ドラッグストア:薬局部門を持つバラエティストア(雑貨店)。薬剤品 のほかに多種多様な商品を揃えている。利便性がよく市街地ではあ らゆる場所にある。TOPICS国立劇場開場11月スーパーマーケットで、昭和4年の世界恐慌時に、倉庫や空き地を利用して食料品を主体に安売りを始めたのがルーツとされ、当時はさらに細分化が進んでいた。 全体的にアメリカの商業はどの分野に属する店でも「如何に消費者に奉仕するか」を徹底しており、ショッピングセンターでもディスカウントストアでも、ベッドタウンの立地条件に応じて営業時間を決めている。多くの会社が土日を休みにしているため、百貨店では金曜と月曜の営業時間を2時間延長していた。店内の通路、売場スペースはゆったりしており、衣料品は色別に陳列してサイズを揃え、POPがはっきりしているので買い物しやすい。これらは儲けたいからという商魂から発したのではなく、消費者の利便性を図ることから生まれており、尾山悦造は「これが真のサービス精神であり、社会へ奉仕しながら報酬を得るという好循環が行われている。企業はすべてこうでなくてはならない」と強く共感した。 帰国後、アメリカで無用とされる問屋が日本でその役割を果たすには、十和の持つ問屋機能を生かした提案性のある事業を展開する必要があると考えた尾山悦造は、ついに小売業への進出を決意する。いよいよフジ設立の機が熟すのである。TOPICS第1号店は宇和島市内への出店を決定当時、十和には広島を中心に中国地方全域に約2,000店の小売業を営む得意先があった。小売業者との共存共栄を事業精神に掲げる十和は、得意先に不安や不信感を与えないという配慮から、商圏外への出店を模索。結果、昭和40年ごろからカーフェリーが発達し、商材の輸送に支障がない愛媛県を選択し、昭和41年に松山市内の一等地「銀天街」に用地を確保する。しかし、いきなり繁華街への出店はリスクが大きいと判断し、第1号店の出店地を松山市から約100km南にある宇和島市に決定した。松山市宇和島市広島(出典:十和社内報 昭和41年6月号・7月号)当時の十和社内報には、視察報告として流通事情が語られている。現在も通用する言葉が半世紀前に紹介されていることからも、アメリカ流通機構の先進性がうかがえる。第一章軌跡History
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