50周年記念誌
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DATA■ 大卒初任給:25,200円■ ヒット曲:ブルー・シャトウ( ジャッキー吉川とブルー・コメッツ)■ 映画:わが命つきるともTOPICS「胸にこみ上げるのは嬉しさよりも涙」尾山謙造社長はフジ宇和島店開店の様子を『十和社内報フジ 開店記念号』で、次のように書き記している。「電気シャッターが音もなく上がり始め、ガラス戸を開け、どうぞおはいり下さいと頭を下げたとたん、行列はドア巾一杯にドクドクと店に吸い込まれ始めた。いつまでたっても止らない。店一杯にふくらんだ所で一時入店お断り。外には数え切れぬ群衆、これ丈の人がどこにいたかという程に感じた。胸にこみ上げるのは嬉しさよりも涙であった。」TOPICS開店記念セール中、店内を視察する尾山謙造社長開店を待つお客様開店当時の店内はばだけとま フジ宇和島店は敷地面積約1、300㎡、売場面積1、485㎡の鉄筋コンクリート造2階建て。工期わずか2ヵ月半で、完成したのは開店前日だった。当時、地方都市では例を見ない衣料ストア開業のために、地元の女性約50名が採用された。工事期間中、彼女らは接客の研修を行い、合間にはタスキを掛けて宇和島市内の家庭を一軒一軒訪問。アンケートを配りながら新店舗の告知を行った。十和から応援部隊も駆け付け、全員が協力して開店準備に取り組んだ。 入店制限を繰り返した初日の来店客は1万5、000人。当時の宇和島市の人口が約6万人であったことから、市民の4人に1人が来店したことになる。驚いたことに、3日間の開店大売り出しの最終日の売上高が、初日を上回るという日本の小売業で初となる記録を打ち立てた。通常であれば初日が一番賑わうはずである。想像の域ではあるが、初日に来店したお客様が「もう一度」とリピート来店され、口コミで評判を広げてくださったのだろう。 この時、四国の静かな街で大きな希望につつまれて流通革命が幕を開いた。フジ宇和島店の開店を祝うアドバルーン開店前、幹部たちが一堂に揃って清めの儀式社名の「フジ」には、「富士山のようにお客様から親しまれ、愛される店に」という思いと、「その名前に恥じないような店でありたい」という願いが込められている。創業時のロゴマークは十和の社内公募によるもので、従業員の案が採用された。10月愛媛県宇和島市にフジ宇和島店を開設︵フジ1号店︶(出典:十和社内報 フジ開店記念号(10月臨時増刊))第一章軌跡History
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